鍛冶野 冴霧 Sagiri Kajino
「鍛冶屋の切子」の跡継ぎであるガラス職人。
元々刀鍛冶屋だったのを、2代前の先代である祖父がガラス工房にした老舗。
しかし、冴霧の代で倒産寸前でピンチになっている。
それでも、技術だけは一級品でガラス工房や鍛冶だけでなく、ハンドメイドまでこなす。
原因はハンドメイドにしか興味ないことだった。
かつて、初めて依頼を受けたお客様である「朱 風鈴(シュウ ファンリン)」が、配信目的で再び訪れたことをきっかけに、カメラマンである「吉永 九二幸(よしえ くによし)」をアルバイトとして雇い、業態変更して「キリコクラフト」と店名を変えて赤字脱却を目指すことにした。
ラフ
登場作品
2024年度ヘッダー
テーマ:「アイスクラック」
自分自身に「失敗」や「弱さ」があったからこそ超えたいと思った。
「失敗」や「弱さ」なんて「大成功」という美しい模様の軌跡の一部
でしかないといえるくらいに強くなりたい。
「どうだ。お前にピッタリだろうキッチョマニアこと、吉永九二幸。お前にいいことを教えてやる」
俺はやつの話を聞きたくないとばかりに視線を落としたが、グラスに吸い込まれてしまう。
「その程度の炎上で最悪な運命と決定づけるのか?あきらめてしまうのか?実はそのグラスわざとヒビを入れて作っているんだ。失敗作のように見えて美しいと感じてしまうだろう?そのグラスは成功した人生のように見えないか?」
悔しいが最初見た時から失敗作だと思ったけど、綺麗だとさえ思ったのも事実だ。俺はなんで配信をやろうと思ったんだっけ?なんで、吉四六に憧れたんだっけ?とんでもない発想でとんでもないことをしてきたからだろう?
あの程度の炎上が何だってんだ。吉四六だったら絶対気にしない!!
「分かったよ若作りのアラサーのオッサン!!こんなとこすぐに辞めてビッグになってやるぜ!!」
そうだ。ちょっとした失敗程度で終わってられるか。このヒビが失敗だというなら、このグラスの美しさは成功、いや大成功だ。俺の目指すべき人生はこのグラスにあった。